スイスでのインプラント研究・治療(一年間完全滞在)
2023年度からITI(International Team for Implantology)という世界で最も権威のあるインプラント財団から資金をいただき本部のあるスイスにて大学病院でのオペ・診療そして研究機関での新しいインプラントの技術の開発に携わってきました。この名誉あるプログラムに選ばれるのは日本では年間1人と非常に狭き門になります。条件として大学院を卒業して医学系博士号を取得していること、インプラント治療の経験が十分であること、英語でのコミュニケーション能力が十分であることなどがあります。
選ばれたメンバーは今後の歯科・インプラント治療において社会貢献していくことを期待され、学会発表などアカデミックな分野での活躍も期待されています。
よくあるお金を自分で支払っていく一週間コースなどとは全く異なり、一年間びっちりとしたスケジュールでスイスに滞在して朝から晩まで治療・研究に明け暮れる日々を過ごしてまいりました。
そのために当院を長期休業させていただき多くの方々にご不便をおかけしたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。
当院ではスイスで経験してきた最新の治療技術とエビデンスベースの知見をもとに患者様に最良の治療を提供できるように尽力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
スイスでの治療・研究
スイスの大学病院にて外科専門医コースで勉強しているスイスのドクターにインプラント手術の指導を行ったり、積極的にすべてのカンファレンスに参加して発表、日本の治療とスイスの治療の考え方の違いなどもディスカッションしてきました。その中でスイスでは私の考え方と同様に現存している残せる歯を温存するためにいかにインプラントを上手く活用して治療に取り入れていくかが重要であることを必ず治療計画の中に入れているのが印象的でした。
残せない歯を無理に残そうとすることで、周囲へのさらなるダメージを拡大させないことが非常に重要です。
ITI本部(スイス) 日本人初の快挙
世界で最もエビデンスレベルが高く権威のある学会であるITI(International Team for Implantology)の本部(スイス、バーゼル)で日本・スイスで行った多くの研究をCEOの前で発表して非常に高い評価を得ることができました。日本人がスイス本部で発表したのは歴史上初めてとのことでした。
スイスではFuture Dentistryといって日本ではまだまだ大学病院でも知られていない内容の研究を行うことができたのがこれからの歯科医師人生の糧になると考えています。
治療の考え方も日々進化しています。何十年前も昔の治療法では出来ない治療も現在では可能になっていることも多々あります。
これからもクリニックに尽力しつつ、スイスのドクター仲間たちと連携を取りながら研究面でも参加することで自分の知識を最新のものにアップデートしていくことが患者様により良い治療を提供させていただくことの一助になると考えております。
1年間実際にスイスの最新の歯科治療・手術に携わって
スイスの最新の歯科治療・手術そして研究に1年間現地に居住して朝から晩まで密に経験して思ったことは、日本の歯科治療の遅れです。スイスでは日本の大学病院では見たこともない治療、研究をすでに行っております。私のスイスの大学病院・口腔外科でも教授から他の先生方も常に企業と連携して新しい技術の発展に貢献していました。その中
で新しい治療をどんどん患者さんに取り入れるシステムも構築されていました。
スイスではインプラント治療だけでなく、歯を保存するための治療にも多く関わってきましたが保存できない歯は無理に温存するのではなく周りの組織に悪い影響を与える前に早く抜歯していく治療方針も非常に印象的でした。結果としてよい状態でインプラント治療を行うことができ患者さんのQOLの向上させることができていました。
日本では昔から無理に残そうとする治療を行ってきた歴史があり、日々の診療でも無理をした昔の治療にもよく遭遇します。そのような歯で問題が起きた時には周りの骨やその他の組織に壊滅的なダメージを与えていることが多く、早期に治療していれば必要のなかった骨の移植など費用・時間がかかる治療を追加で行わなければならないことがこれまでによく見られました。場合によってはインプラント治療は不可能で入れ歯しかできなくなっている症例も認められました。
日本の歯科の問題のひとつとして開業医の先生とお話をしても多数の医院の経営、採用、スタッフの教育などで忙しく大学を卒業してから歯科治療のアップデートができていない先生も残念ながら多くいるのが事実です。その場合、30年前に大学で教わった治療法しか知らずに患者さんにはそれを説明、治療することになります。
そのような古い治療法、間違った治療法では患者様のQOLを高めることは難しいと考えております。
当院では最新のCT(3次元的なレントゲン)をインプラント治療を希望の患者様には撮影させていただき正確な情報、検査・診断をこれからも行っていき、より多くの方の健康・QOLの向上に貢献していきたいと考ええております。
海外での発表
2024年度イタリア・ミラノで行われたEAO(European Association for Osseointegration ヨーロッパインプラント学会)世界で最も権威のあるインプラント学会において日本で唯一口頭発表に選ばれ日本・スイスで行ってきた研究の一部を世界中から集まったインプラントのスペシャリストと発表・ディスカッションをすべて英語で行いました。世界から選ばれた多くの専門医と審査員の方々で前で行ってきました。さすがにとても緊張しましたが幸い高い評価を得ることもでき良い経験となりました。